旅の途中、冷えた食事と笑いの途絶えた会話。 誰も彼もが押し黙って何かを待ち、想いはただそれぞれの故郷へ。 あんたは私に「共にゴンドールに行こう」といい、 私は返す言葉を持たずに、ただ曖昧に微笑んだ。 運命は廻る 皮肉な方向へと 「帰る」と言ったあんたはもの言わぬ骸となり、 曖昧に笑んだだけの自分は、ここにいる。 できうるものなら、共にきたかった。 心だけを連れて帰って、心だけで会話をくり返す。 それでも、いてくれるだけでマシだと思えるようにはなったよ。 あんたを心からまで失ったりしなくて、良かった。 遠く、このゴンドールの地より、今は大河に身をまかせたボロミアよ。 あんたのかわりに、この地で生きていく力を、あたえておくれ──── 白き塔より街中を見下ろす王の口元に浮かんだうすい薄いほほえみ、 一瞬のそれを見ることができたのは、ただゴンドールに沈む太陽のみ。 |